「優勝しました!」の集合写真。HPに載せようとして、ふと手が止まる——。
「これ、全員の保護者に許可って取ったんだっけ?」
少年団や街クラブの運営をしていると、必ず一度はぶつかる不安だと思います。せっかくのいい写真なのに、載せていいのか分からない。かといって、誰に何をどう確認すればいいのかも分からない。結局、載せるのをやめてしまう。
僕は25年、ジュニアから社会人、街クラブまでいろんなカテゴリでサッカーに関わってきました。指導者もしていたので、写真を「撮る側・載せる側」の悩みはよく分かります。子どもたちの躍動する写真は、チームの一番の魅力。なのに、不安があるせいで発信が止まってしまうのは、本当にもったいない。
先に結論を言います。子どもの写真は、HPに載せて大丈夫です。ただし「同意・選び方・載せ方」の3点セットを揃えること。この記事では、その3点を順番に、そのまま使える同意書テンプレート付きで解説します。
「この写真、載せていいんだっけ?」——みんな一度は不安になる

まず、よくあるモヤモヤを並べてみます。
- 集合写真に写っている全員の許可、取った記憶がない
- 入団のときに口頭で「写真載せていいですか」と聞いた気がするけど、記録がない
- 対戦相手の選手が写り込んでいる写真、これはどうなる?
- 保護者がSNSに上げた写真をHPに転載していいのか分からない
- 「うちの子は載せないで」と言われたことがあるが、どこまで気をつければいいのか曖昧なまま
ひとつでも心当たりがあれば、この記事は役に立つはずです。
大事なのは、不安の正体をはっきりさせること。「なんとなく怖いから載せない」でも「何も考えずに全部載せる」でもなく、ルールを知って、チームとしての型を一度作ってしまう。そうすれば、あとは迷わず発信できます。
まず結論:載せてOK。ただし「3点セット」が条件

子どもの写真の掲載は、次の3つが揃っていれば問題ありません。
1. 同意 —— 保護者から、書面(またはフォーム)で掲載の同意をもらっている
2. 選び方 —— 個人が必要以上に特定されない写真を選んでいる
3. 載せ方 —— 名前や学校名など、写真と組み合わさると危ない情報を一緒に載せていない
逆に言うと、この3つのどれかが欠けたまま運用しているチームが、実はかなり多いんです。特に「①の同意を口頭で済ませている」パターン。トラブルが起きたときに「言った・言わない」になるのは、お互いにとって不幸です。
ひとつずつ見ていく前に、前提となる法律の話を最低限だけおさえておきましょう。難しくしません。2つだけです。
法律はどうなってる?最低限おさえる2つの知識

※この章は一般的な情報の整理です。個別のトラブルや判断に迷うケースは、自治体の法律相談や弁護士など専門家に確認してください。
肖像権——「みだりに公開されない権利」
肖像権という言葉、聞いたことはあると思います。実は法律の条文に「肖像権」という言葉があるわけではなく、裁判の積み重ねで認められてきた権利です。中身をひとことで言うと、「自分の姿を、勝手に撮られたり公開されたりしない権利」。
ポイントは「勝手に」の部分です。つまり、本人(子どもの場合は保護者)が同意していれば、掲載は問題ないということ。同意こそがすべての土台です。
個人情報保護法——「顔写真+名前」は個人情報
もうひとつが個人情報保護法。「特定の個人を識別できる情報」が個人情報にあたります。顔がはっきり写った写真に氏名を添えれば、これは立派な個人情報です。
「うちは小さな少年団だから関係ない」と思うかもしれませんが、部員名簿を作って管理している団体は、規模に関係なくこの法律と無関係ではいられません。とはいえ、怖がる必要はありません。やることはシンプルで、「何に使うかを伝えて、同意をもらって、約束どおりに使う」。これだけです。
子どもの場合は「保護者の同意」が基本
小学生くらいの子どもは、掲載のリスクを自分で判断できません。だから実務では、本人ではなく保護者(親権者)の同意を取るのが基本です。少年団・街クラブなら「入団時に保護者から書面でもらう」が一番確実で、運用もラクです。
法律の話は以上です。要するに「保護者の同意が土台。あとは使い方の問題」。では、その同意をどう取るか。ここが本題です。
同意の取り方——入団時に1枚、これで9割解決

口頭はNG。紙かGoogleフォームで
「入団のときに口頭でOKもらってます」というチーム、多いと思います。でも口頭の同意は、記録が残りません。担当コーチが代替わりしたら、誰が何に同意したのか誰も分からなくなります。
おすすめは、入団時の書類に1枚追加すること。紙でもいいですし、入団手続きをGoogleフォームでやっているチームなら、同意の項目を足すだけです。回答が自動で記録に残るので、フォームの方が管理はラクです。
同意書に入れるべき5項目
形式は自由ですが、次の5つは必ず入れてください。
1. どこに載せるか(HP・SNS・チラシなど、媒体を具体的に)
2. チームが守ること(フルネームは載せない、など掲載ルール)
3. 同意のレベルを選べること(全部OK/HPのみ/顔が写らない写真のみ/掲載不可)
4. いつでも撤回できること
5. 削除依頼への対応(申し出があれば速やかに削除する旨)
特に③が大事です。「載せるか載せないか」の二択にすると、慎重な保護者は「不可」を選ぶしかなくなります。「後ろ姿や引きの写真ならOK」という中間の選択肢があるだけで、ほとんどのご家庭が何らかの形で同意してくれます。
そのまま使える同意書テンプレート
以下、コピペして使ってください。チーム名と連絡先だけ差し替えれば、そのまま機能します。
> 写真・動画の掲載に関する同意書
>
> 私は、〇〇FC(以下「チーム」といいます)が活動中に撮影した選手の写真・動画を、以下の媒体に掲載することについて、下記のとおり回答します。
>
> 【掲載媒体】
> ・チーム公式ホームページ
> ・チーム公式SNS(Instagram、X、Facebook 等)
> ・チーム紹介のチラシ・ポスター等の印刷物
>
> 【チームが守ること】
> ・氏名はフルネームでは掲載しません(名字または背番号のみ)
> ・自宅・学校など、個人の特定につながる情報と組み合わせて掲載しません
> ・掲載中止のお申し出があった場合、速やかに該当の写真・動画を削除します
>
> 【同意の選択】(いずれかに○)
> ( )すべての媒体への掲載に同意します
> ( )ホームページのみ同意します(SNSへの掲載は不可)
> ( )顔が特定できない写真(後ろ姿・遠景など)のみ同意します
> ( )掲載に同意しません
>
> ※本同意はいつでも撤回できます。撤回をご希望の場合は、チーム代表までご連絡ください。
>
> 選手氏名:
> 保護者氏名:
> 記入日: 年 月 日
すでに活動中で「今さら全員から集め直すのは大変」というチームは、年度初めの保護者会や年度更新のタイミングで配るのが自然です。1年に1回、書類1枚。これで「言った・言わない」が消えます。
載せ方の工夫5選——同意があっても、ここまでやると安心

同意が取れたら何でも載せていい、というわけではありません。同意書で約束した「守ること」を実行に移すのが、この章です。どれも今日からできます。
工夫①:名前はフルネームで載せない
選手紹介や試合結果で名前を出すときは、「背番号+名字」または名字のみ。「10番 佐藤」で、チーム内にも保護者にも十分伝わります。フルネームが必要な場面は、実はほとんどありません。
工夫②:「写真+学校名+学年」を揃えない
ひとつひとつは問題なくても、組み合わさると個人が特定できてしまう情報があります。代表例が「顔写真・学校名・学年」のセット。お知らせで学校名を出す必要がある場面はまずないので、写真とセットにしないことを徹底しましょう。
工夫③:顔のアップより「プレー中・引き・後ろ姿」
実は、チームの魅力が一番伝わるのは顔のアップではありません。ボールを追う姿、ゴール後にみんなで走り出す瞬間、整列した背中。引きの写真や後ろ姿は、雰囲気が伝わる上にリスクも低い。「迷ったら引きの写真」と覚えておくと、写真選びが速くなります。
工夫④:スマホ写真の「位置情報」に注意
スマホで撮った写真には、撮影場所の情報(ジオタグと呼ばれる位置データ)が埋め込まれていることがあります。練習場所=子どもの生活圏なので、ここは消しておきたいところ。カメラアプリの設定で位置情報をオフにするのが一番簡単です。チームの撮影係を決めているなら、その人のスマホだけ設定すれば済みます。
工夫⑤:卒団・退団した子の写真は「節目で見直す」
意外と見落とされがちなのがこれ。卒団した子の写真がトップページに残り続けているHP、よく見かけます。同意は在団中にもらったもの。卒団後も永久に有効、と考えるのは無理があります。年度替わりに一度、HPの写真を見直す。これをチームの年間行事にしてしまうのがおすすめです。
もしも「削除してほしい」と言われたら——対応は3ステップ

どれだけ気をつけていても、「この写真、消してもらえますか」という連絡は起こり得ます。家庭の事情など、チームには見えない理由があることも多い。だから、申し出があること自体は失敗ではありません。対応の速さと姿勢がすべてです。
1. まず消す(その日のうちに) —— 理由を聞くより先に、該当の写真を非公開にします。判断や議論はそのあとで。
2. 報告とお礼を伝える —— 「削除しました。教えていただきありがとうございます」と連絡。この一言で、トラブルは信頼に変わります。
3. ルールを見直す —— なぜその写真が出たのかを振り返り、必要なら同意書や写真選びの基準を更新します。
逆に一番まずいのは、「同意書にサインもらってますよね」と返してしまうこと。法的に正しくても、チームと家庭の関係は壊れます。書面は保険であって、盾ではありません。
HPの「設計」で守れることもある
ここまでは運用の話でしたが、実はHPの作り(設計)の段階で、リスクをかなり減らせます。
たとえば、選手紹介ページを最初から「背番号+名字+ポジション」のフォーマットで作っておけば、誰が更新してもフルネームが載ることはありません。ルールを「人の注意力」ではなく「ページの構造」で守る、という考え方です。
それから、古い写真が残り続ける問題。これは結局、**更新がしんどいHPほど起こります**。差し替えが面倒だから、卒団した子の写真が貼りっぱなしになる。
ウェブつくで作るHPは、写真の差し替えやお知らせの更新がLINEから5分でできます。「年度替わりの写真見直し」が苦にならない仕組みです。また、制作の段階で「お子さんの写真、どこまで載せますか?」という掲載ルールの設計から一緒に考えます。同意書のフォーマットについてもご相談いただけます。
サッカーチーム専門でやっている理由のひとつは、こういう「サッカーチームならではの事情」に踏み込んだ提案がしたいからです。
まとめ:不安をなくして、子どもたちの躍動を発信しよう

最後に、この記事のポイントを整理します。
- 子どもの写真は載せてOK。条件は「同意・選び方・載せ方」の3点セット
- 同意は口頭ではなく書面かフォームで。入団時に1枚、選択肢つきの同意書を(テンプレはこの記事からコピペ可)
- 載せ方の工夫は5つ——フルネームを避ける/特定できる組み合わせを避ける/引きの写真を選ぶ/位置情報を消す/年度替わりに見直す
- 削除依頼が来たら「まず消す→お礼→ルール見直し」。書面は保険であって盾ではない
写真は、チームの一番の広報材料です。グラウンドを駆ける子どもたちの姿ほど、「このチームに入れたいな」と思わせるものはありません。不安で発信が止まっているなら、まずは同意書1枚から始めてみてください。
そして、「掲載ルールの設計から相談したい」「安心して更新できるHPを作りたい」という方は、よかったら一度お話ししましょう。チームの体制に合わせて、いちばん無理のない形を一緒に考えます。