「今年もお願いします」と言えないまま、気づいたら年度が変わっていた。
スポンサー集めでいちばん語られないのが、この部分です。声のかけ方や金額の決め方は準備するのに、一度決まった協賛をどう続けてもらうかは、たいていノープランのまま1年が過ぎます。
でも、チームの財源として考えたとき、価値が高いのは明らかに後者です。新しい1社を口説くのにかかる労力を10とすれば、既存の1社に継続してもらう労力はせいぜい2。しかも継続してくれる企業は、金額が上がることはあっても下がることは少ない。
チームのホームページを作る仕事をしていると、既存サイトを見せてもらう機会がよくあります。そこで気づくのが、スポンサー紹介ページの「止まり方」です。
ロゴが並んでいるけれど、最終更新は2年前。もう協賛していない会社が残っている、社名が変わったまま古いロゴが載っている、リンクをクリックするとページが存在しない——珍しくありません。
その状態で「今年もお願いします」と切り出すのは、正直かなり難しいはずです。相手の画面には、去年1年間ほとんど動かなかったページが映っているわけですから。
継続が途切れる理由は、金額でも景気でもなく、その1年で何も見せられなかったことだったりします。
この記事では、協賛が決まった当日から翌年の更新まで、やることを時系列で並べます。年度末に慌てないための、いちばん地味で、いちばん効く話です。
なぜ、2年目で切れるのか

継続が途切れるチームには、だいたい同じ3つの理由があります。
理由1:入金以降、一度も連絡していない
いちばん多いパターンです。決まった時にお礼を言い、入金を確認して、そこで終わり。企業側からすると「あのお金、何に使われたんだろう」が残ります。次の年、経費を見直すときに真っ先に候補に挙がるのは、こういう支出です。
理由2:担当者が代わって、誰も引き継いでいない
地元企業でも異動や退職はあります。前任者が「地域貢献だから」と決めた協賛は、後任にとってはただの前年踏襲の出費です。チームと接点を持っているのが1人だけだと、その1人が抜けた瞬間に終わります。
理由3:更新の話を切り出すのが、また気まずい
初回で使い切った勇気を、もう一度出さないといけない。しかも「今年もどうですか」だけでは押し売りに聞こえる。結果、言い出せないまま年度が始まる——これも本当によくあります。
逆に言えば、この3つはどれも「事前に仕組みにしておけば」防げます。以下、時系列で見ていきます。
ステップ0:決まってから1週間でやること

継続は、更新の直前ではなく初動で決まります。ここを丁寧にやったかどうかが、1年後に効いてきます。
やることリスト(決定〜1週間)
- ☐ お礼の連絡(当日〜翌日)
- ☐ 協賛申込書・確認書の取り交わし
- ☐ ロゴデータの受け取り
- ☐ 入金方法と時期のすり合わせ
- ☐ 領収書の発行
- ☐ ホームページへの掲載
- ☐ 掲載完了の報告(←ここが抜けがち)
ロゴデータは「使える形」でもらう
もらったロゴがWordに貼られた低解像度の画像だった、というのはよくある話です。最初のやり取りで、こう伝えておくと後が楽になります。
ロゴマークのデータをお送りいただけますでしょうか。
可能でしたら、背景が透明のPNG(横幅600px以上)か、ai・SVG・EPSなどの形式ですと、ホームページでもきれいに表示できます。難しい場合は、お手元にあるデータで問題ありません。
あわせて、リンク先にする貴社サイトのURLもお知らせいただけますと助かります。
「難しい場合は〜」の一文を必ず添えてください。データ形式の話は、相手にとって面倒事です。ここでハードルを上げると、やり取りが止まります。
協賛申込書に入れておく5項目
口約束だけで進めると、翌年「そもそも何年契約だったか」から揉めます。1枚で構いません。
- 協賛プラン名と金額
- 協賛期間(○年○月〜○年○月/年度単位)
- 掲載内容(ホームページ・ユニフォーム・横断幕など)
- ロゴ・社名の表記
- 更新の扱い(例:期間終了の1か月前までに双方から申し出がなければ継続協議とする)
とくに2番。「年度単位」と明記しておくと、更新のお願いが自然な業務連絡になります。 気まずさの正体は、切り出すタイミングが決まっていないことなので、最初に決めてしまうのが一番効きます。
掲載完了の報告メール(文例)
掲載したら、必ずURL付きで報告します。相手にとっては、ここが初めて「協賛の成果」を目にする瞬間です。
件名:【○○FC】ホームページへのロゴ掲載が完了いたしました
株式会社○○
○○様お世話になっております。○○FCの○○です。
このたびはご協賛いただき、誠にありがとうございます。ホームページのスポンサー紹介ページに、貴社のロゴを掲載いたしました。
▼掲載ページ
https://____貴社サイトへのリンクも設定しております。表記や掲載位置についてご要望がございましたら、遠慮なくお知らせください。
今シーズンの活動の様子は、ホームページとSNSで随時お伝えしてまいります。
引き続きよろしくお願いいたします。
そもそも掲載する場所がまだない場合は、スポンサー紹介ページの作り方を先に整えてください。報告できるURLがないと、ここから先が全部やりにくくなります。
ステップ1:シーズン中の接点は「年3回」でいい

毎月連絡する必要はありません。むしろ多すぎると相手の負担です。年3回、決まったタイミングで送ると決めてしまうのが、続けるコツです。
| 時期 | 送るもの | 目的 |
|---|---|---|
| シーズン開幕直後 | 開幕の挨拶+今年の目標 | 応援対象として認識してもらう |
| 大会・遠征の直後 | 結果報告(写真1枚でOK) | お金の使い道が見える |
| 年度末 | 協賛レポート | 更新判断の材料になる |
真ん中の「大会の直後」が、実はいちばん効きます。遠征費の一部が協賛金で賄われているなら、その遠征の結果こそが成果報告だからです。3行で構いません。
○○大会、ベスト8でした。バスでの遠征費に協賛金を充てさせていただきました。子どもたちは初めての県外の相手に緊張していましたが、後半に1点返して終わりました。ありがとうございました。
金額の使途を1行入れる。これだけで「寄付」が「投資」に変わります。
担当者が代わっても切れないようにする
理由2への対策です。難しいことはしません。
- 送り先を個人アドレスだけにしない(部署の代表アドレスをCCに入れる)
- ホームページの掲載ページを常に最新にしておく(後任が見て理解できる状態にする)
- 年に一度は紙かPDFで残る形の報告を送る(社内で回覧・保管される)
引き継ぎ資料に「このチームには協賛している」と残るかどうかが、分かれ目です。
ステップ2:年度末の「協賛レポート」1枚

更新のお願いの前に、これを送ります。レポートが先、お願いが後。順番が逆だと、ただの請求になります。
A4で1枚、PDFで十分です。凝ったデザインはいりません。
協賛レポート テンプレート
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2026年度 ご協賛のご報告
○○FC
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■ ご協賛いただいた内容
プラン名:○○プラン
期 間:2026年4月 〜 2027年3月
■ 今年度の活動
登録選手数:○名(昨年度 ○名)
公式戦 :○試合
大会参加 :○大会
主な結果 :○○大会 ベスト○/○○リーグ ○位
■ ご協賛金の使途
・遠征バス費用 ◯◯円
・大会エントリー費 ◯◯円
・ボール・用具の更新 ◯◯円
※詳細な内訳は決算報告をご覧ください
■ 掲載の状況
・ホームページ スポンサー紹介ページ(通年掲載)
https://____
年間の表示回数:約○○回
・大会パンフレット 掲載(○回)
・SNSでのご紹介 ○回
■ 来年度に向けて
(2〜3行。目標と、支援がどう活きるか)
■ 御礼
(代表者からひとこと。定型文でない言葉で)
写真1〜2枚(試合の様子/横断幕や掲示物が写っているもの)
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数字を1つだけ入れる
このレポートで差がつくのは「掲載の状況」の欄です。ホームページのアクセス数を入れられるチームは、実はほとんどありません。
「年間で約2万回見られているページに、通年でロゴが載っています」と書けるかどうか。企業にとっては、これが唯一の定量的な判断材料です。Googleアナリティクスなど無料のツールで取得できるので、協賛を受けるなら最初にアクセス解析だけは入れておいてください。
ただし、書き方には2つ注意点があります。
①「表示回数」を使う。「ユーザー数」を12倍しない。
月のユーザー数を単純に12倍すると、毎月見ている同じ保護者を12回カウントすることになり、実態の数倍に膨らみます。企業に出す数字としては使えません。使うのは表示回数です。
② ロゴがどこに載っているかで、使う数字が変わる。
フッターなど全ページ共通の位置に入っているなら、サイト全体の表示回数で構いません。スポンサー紹介ページだけに載っているなら、そのページの数字を使います。全体の数字を露出回数として出すのは、盛りになってしまいます。
誠実に、こう2段で書くのがいちばん伝わります。
・サイト全体 :年間 約◯◯回 ・スポンサー紹介ページ :年間 約◯◯回 ・ロゴ掲載位置 :全ページ共通フッター
数字がないなら、ないなりに事実を書けば大丈夫です。「通年掲載・○月に更新」でも、何も書かないよりはるかにいい。
使途は「ざっくり」で構わない
1円単位で合わせる必要はありません。主要な3項目だけで十分伝わります。むしろ大事なのは、協賛金がチームの何を可能にしたのかが、読んで分かることです。
ステップ3:更新のお願い(文例)

レポートを送って1〜2週間後、あるいは同じメールの後半で切り出します。企業の予算編成の時期を考えると、年度末の2〜3か月前がベストです。3月に言うのでは遅い。
継続をお願いするメール(文例)
件名:【○○FC】2027年度のご協賛について
株式会社○○
○○様いつもお世話になっております。○○FCの○○です。
先日は年度のご報告をお送りし、ありがとうございました。早いもので、今年度のご協賛期間が○月末で満了となります。
つきましては、2027年度も継続してご協賛いただけないか、ご相談させていただきたくご連絡いたしました。来年度は、○○(新カテゴリー発足・大会出場・部員増など)を予定しております。
掲載内容は今年度と同様(ホームページ通年掲載・大会パンフレット掲載)を考えておりますが、ご要望があれば調整いたします。社内でご検討いただく時期などもあるかと存じますので、まずは方針だけでもお聞かせいただけますと幸いです。
ご都合がよろしければ、一度ご挨拶にお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
ポイントは3つです。
- 満了日を明記する(お願いではなく、期限が来たという事実の連絡になる)
- 来年の予定を1行入れる(今年の実績より、来年への期待で判断されます)
- 「方針だけでも」と逃げ道を残す(即答を求めない。相手が答えやすくなります)
プランを上げてもらいたいとき
無理に上のプランを勧める必要はありません。ただし、選択肢として置いておくのは有効です。
今年度と同じ○○プランでのご継続でももちろんありがたいのですが、来年度は新たに○○(ユニフォーム袖・横断幕など)の枠もご用意しております。ご参考までに、プラン表を添付いたします。
判断材料を渡すところまでがこちらの仕事で、選ぶのは相手です。プラン表そのものの作り方は協賛金はいくらでお願いする? スポンサープラン表の作り方にまとめています。
継続を断られたときにやること

続かないこともあります。業績、担当者の交代、方針変更——チーム側にどうにもできない理由がほとんどです。
大事なのは、ここで関係を切らないことです。
- お礼だけは丁寧に返す(「またご縁がありましたら」で終わらせる)
- ホームページの掲載は、期間終了まできっちり残す(勝手に前倒しで消さない)
- 「これまでご支援いただいた企業」として、別枠で残せないか相談してみる
- 翌年もレポートだけは送る(負担にならない範囲で)
数年後に戻ってくるケースは普通にあります。断られた時点での対応が、その可能性を残すか消すかを決めます。
なお、あらためて新しい協賛先を探す段階の話は、スポンサー獲得の実践ガイド。「最初の1社」はこう見つけて、こうお願いするをご覧ください。
ホームページが「継続の理由」になる

ここまで読んで気づいたと思いますが、継続のための材料は、ほぼすべてホームページから出てきます。
- 掲載完了の報告に貼るURL
- レポートに書く表示回数
- 担当者が代わっても状況を確認できる場所
- 「ちゃんと運営されている」という信頼感そのもの
逆に、ホームページが1年前で更新が止まっていると、レポートに書けることが何もありません。協賛の継続率は、実はホームページの更新頻度とほぼ連動します。
ウェブつくでは、スポンサー紹介ページを標準で用意し、ロゴの追加や差し替えもLINEで依頼できるようにしています。年度替わりのタイミングで掲載企業を入れ替える作業も、こちらで対応します。「更新が止まるから協賛が続かない」という悪循環を切るのが、いちばんの目的です。
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まとめ:年間チェックリスト

| 時期 | やること |
|---|---|
| 決定〜1週間 | お礼/申込書/ロゴ受領/領収書/掲載/掲載完了の報告 |
| 開幕直後 | 挨拶と今年の目標を一報 |
| 大会・遠征後 | 結果報告(写真1枚+使途1行) |
| 年度末の2〜3か月前 | 協賛レポートを送る |
| その1〜2週間後 | 更新のお願い |
| 期間満了時 | 継続手続き/または丁寧な御礼 |
新しい1社を探す前に、いまの1社との来年を作る。地味ですが、これができているチームは、数年経つと財源がまったく違ってきます。